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永遠の箱詰め。お花をあげよう。

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1.はじめに

 このシナリオの時代、季節は特に指定しない。
 探索を中心に進む、クローズド系の一人用シナリオである。シナリオにはオリジナル要素が含まれている。
 クリア難易度は高くないが、行動によって探索者が即死(キャラロスト)する可能性がある。選択によっては、戦闘が発生する。

・推奨プレイ人数:1名
・プレイ時間:30分程度

・推奨職業:特になし
・推奨技能:≪目星≫
・准推奨技能:≪生物学≫






2.概要(KP情報)

探索者はあるとき、白い部屋で目が覚める。探索者は謎の空間を抜け出し、無事に元の生活に戻ることができるのか。

シナリオタイトルがネタバレをかましていくスタイル。
長ければ「WRB」「死悪の部屋」とでも略してください。ピンクダークの部屋でもいいよ!
導入らしい導入もなく、「白い部屋」から始まります。




◇ 作中で明かされないシナリオ背景
(シナリオに目を通した後で読んだ方がいいかもしれません)

この部屋は、人形が大好きで人を愛せない哲学者の妄執を材料に、ニャルラトテップが生み出した謎空間。哲学者自身は既に亡くなっている。
白い部屋は生誕、赤い部屋は転機(流血)、黒い部屋は死を意味している。
哲学者にとっての転機は結婚。結婚相手が悪女、かつ人形趣味に理解の無い人で、哲学者は大事で大切な愛する人形を全て処分されてしまった。しょっく。結婚したことを非常に悔やんだが、宗教上の理由で離婚も叶わず、苦労したらしい。

こいつ、直接脳内に…! 的な謎の声は、哲学者の思想観を反映した言葉。
花嫁は「結婚願望」の象徴。哲学者の苦手とする『女性側の結婚願望』は、誓いのキスを求められるというかたちで反映されている。『哲学者自身の結婚願望』は、人形のような容姿で花嫁に反映されている。
司祭は哲学者の信仰する「宗教思想」の象徴。ナイ神父ではない。

ちなみに。『還る』先は、宇宙の真の創造主、アザトースの元。やったね!






▲上に

3.探索

・白い部屋

目覚めれば探索者は真っ白な部屋にいた。衣服こそ普段のものだが、持ち物は何もない。

部屋の中央には机があり、上に一枚の紙がある。何か書かれているようだ。
部屋の壁には、赤い扉がひとつある。

天井全体が薄らと発光しており、それが照明の役割を果たしているようだ。




・一枚の紙
「永遠は赤の部屋で約束。おかえりは黒い部屋から」
裏には「帰りたいなら生きた花、還りたいなら死んだ花」と書いてあった。

・≪母国語:日本語≫あるいは≪他の言語:日本語≫成功
「帰る」「還る」のニュアンスの違いに関して。
「帰る」が物理的な移動を伴い、元の位置に戻ることをいうのに対して、「還る」は抽象的な意味合いが強く、原点や根源的な状態に戻ることをいう。


・部屋に≪目星≫成功
よく見れば天井全体に、小さなキノコがびっしりと生えていることに気付く。それが光を発し、この部屋の灯になっているらしかった。
【正気度ロール 0/1】


このキノコはちぎって持って行ける。ちょっと気持ち悪いけど。
机に乗るなり、≪跳躍≫や≪登攀≫に成功すれば届くんじゃないかな。


・机に≪目星≫成功
白い机には、白いインクで「黒い部屋は暗い部屋」と書いてあった。

・赤い扉
金属質の赤い丈夫そうな扉。赤色の取っ手がついている。どこにも鍵穴がない。(鍵はかかっていない。)




赤い扉を開けた先は、赤い部屋に繋がっている。




▲上に









・赤い部屋

赤い絨毯が、扉から壇上へと伸びている。絨毯の脇にはキャンドルが並び、会場は色とりどりの花で飾られていた。
結婚式場のような雰囲気で、壇上には司祭とヴェールを被った花嫁の姿がある。そのほか、参列者などの姿は見えない。

探索者の姿が、いつの間にかタキシードに変わる。
【正気度ロール 0/1】

司祭の胸元には、何か赤いものがある。この距離ではよく見えない。


※補足
探索者が女性でも、タキシード姿になる。花嫁も花嫁のまま、シナリオに変更はない。




・会場の花
視界に入る花は、どれも無機質な色をしている。造花のようである。


・会場に≪目星≫成功
会場に飾られている花は、全て造花だと気付く。


・絨毯脇のキャンドル
底の浅い器に蝋燭が乗っている。
(持って行けるよ)


・司祭や花嫁のいるあたりに近付く
司祭の背後に黒い扉があるのに気付く。

また、司祭の胸元にあった赤いものが一輪のバラの花だと分かる。「心臓の位置にバラが生えている」と形容すべき状態にある。
心なしか、心臓が鼓動を刻むようにバラが脈動しているような気がする。
【正気度ロール 0/1】

花嫁のヴェールの下は、薄らとも見えない。


司祭のバラをとるならば、壇上にのぼり司祭に近付く必要がある。


・黒い扉
金属質の黒い丈夫そうな扉。黒色の取っ手がついている。どこにも鍵穴がない。(鍵はかかっていない。)


・黒い扉を開ける
黒い扉の先の部屋は、明かりがついていないようである。




・壇上にのぼる
司祭が「あなたは永遠を誓いますか? 誓うならば花嫁にキスを」と探索者に告げる。




・花嫁
ナイススタイル。白いふわふわのウエディングドレスを着ている。首元にはレースのついたリボンを身につけている。


・花嫁に話しかける
花嫁は沈黙を守っている。
探索者が壇上にいないようであれば、探索者の手を取り、壇上にのぼるよう促す。花嫁の手は、異様に冷たい。


・花嫁に≪目星≫成功
胸が上下していない。ヴェールも息が当たっている様子がない(浮かず動かず)。呼吸をしていないようだと気付く。


・花嫁に≪生物学≫または≪人類学≫成功
目の前の花嫁が、人間ではないと分かる。


・花嫁のヴェールをめくる
ヴェールの下から現れた顔に、貴方はくらりとする。
自然に生まれ出た人間とは思えない、神が創り出したと言われても納得できるような端正な顔がそこにはあった。
整った顔を『人形めいた』と形容するが、あまりに整った花嫁の容姿は、まるでよくできた人形が人の真似をしているような不気味さを湛えている。
【正気度ロール 0/1】

POW10と対抗ロール。
判定に失敗すると、「花嫁に好意を抱く」「花嫁を魅力的に思う」などの精神支配を受ける。
(花嫁とキスをするかどうかは、PLが判断していい。)


・花嫁とキス
花嫁と口付けた探索者の脳内に、「永遠とは不変である。即ち死なり」という言葉が直接響く。探索者の意識はブラックアウトする。
(→ エンディング3へ




・司祭
神父服を着ている。十字架を首から下げ、人のよさそうな笑みを浮かべている。


・司祭のバラに≪目星≫成功
そのバラが生花であること・蔓は安易にちぎれそうだが、根は楽には引っこ抜けそうにないということに気付く。


・司祭のバラに≪生物学≫成功
その花の艶から、このバラが今も尚根から水や養分を得ている、摘まれていない花だと知る。探索者は司祭の身体に根を張るバラを幻視する。
【正気度ロール 0/1】


・司祭のバラをちぎる
素手でブチリと簡単にちぎれる。途端、司祭は命を失ったかのようにその場で枯れてしぼんでいく。
式場に、花嫁の天を裂くような絶叫が響く。
【正気度ロール 1/1d3】


・司祭のバラを引っこ抜く
STR14との対抗ロールに成功することで、根から引っこ抜くことができる。

ぶちぶちと音を立てて、バラは司祭から抜き去られる。司祭の胸部には赤い染みが広がり、司祭は命を失ったかのようにその場で枯れてしぼんでいく。
式場に、花嫁の天を裂くような絶叫が響く。
【正気度ロール 1/1d3】


・引っこ抜いたバラの根を観察する。
根の先からは、ぼとぼとと赤いものが垂れてくる。――血だ。よく見れば、根は血管のようにも思えた。
【正気度ロール 0/1】




司祭からバラを抜くと、司祭の背後の黒い扉がひとりでに開く。(既に開けた状態で固定していた場合、この描写はする必要がない)
それと時を同じくして、花嫁が探索者を捕まえようと追いかけてくる。探索者は、花嫁を撃退するか、黒い扉の先へ逃げ込むか、選ぶことができる。
(白い部屋への扉は、黒い扉の鍵が開いた時点で鍵がかかり、開かなくなる。)

黒い扉を開けた先は、黒い部屋に繋がっている。




☆ 花嫁を撃退する
探索者が花嫁と戦う意思を見せると、花嫁は首に巻いていたレースのリボンを解く。リボンは、シュルシュルと音を立てて、しなる鞭へと変わる。戦闘開始。

・花嫁
STR10 CON11 SIZ10 DEX10
耐久力 11
武器 鞭 30% ダメージ1d3
装甲 なし

人間ではないため、花嫁にショックロールは発生しない。
耐久力が0以下になったとき、花嫁は糸が切れたようにその場に崩れ落ちる。後には壊れた人形が残る。

戦闘で探索者が意識を失った、あるいは死亡した場合
花嫁が探索者に口付けるも、それを探索者が知覚することはない。
探索者の脳内に、「永遠とは不変である。即ち死なり」という言葉が直接響く。
(→ エンディング3へ


☆ 黒い扉の先へ逃げ込む
黒い扉の先の部屋は、明かりがついていないようである。

ここでKPは、扉を閉めたかPLに確認を取る。閉めていない場合、その場で花嫁と戦闘になる。
扉を閉めた場合、扉にはひとりでに錠がかかる。
扉の取っ手がガチャガチャと動かされる。それがぴたりと止むと、今度はドンドンドンドンと、ひっきりなしに扉が叩かれ、金属が変形するような音がする。
やがて音は静かになる。

扉に触れるなり、光源をもって叩かれた扉を照らすなりすれば、金属の扉のはずなのに、ぼこぼこ歪んでいることがわかる。
また、扉は変形し、二度と開きそうにない。




▲上に









・黒い部屋

明かりのない真っ暗闇な部屋。(壁の色は黒い。調度品も黒い。)

☆ 光源を所持している
灯りとなるものを持って部屋を歩けば、部屋の真ん中に四角い台があり、その上に花瓶のようなものがあることが確認できる。
その側には、手のひらほどの大きさの紙もある。
紙には、黒字に白いインクで「かえりたければ花瓶に花をさせ」と書いてある。




☆ 光源を所持していない
闇の中を手探りで歩き回れば、陶器のような材質のものに触れる。
それは花瓶のような形をしており、四角い台のようなものの上に固定されている。
側には、手のひらほどの大きさの紙らしきものがある。

暗闇の中では、流石に紙の内容は読めない。


※備考
・光源となるもの
白の部屋の天井のキノコ。赤の部屋の絨毯脇のキャンドル。

・赤の部屋で花嫁を倒していた場合
黒い扉を開放したままにすることで、赤の部屋の光を取り込み、部屋の中を見ることが可能。
この部屋の物を部屋の外に持ちだし、赤の部屋で見るということも可能。
(ただし花瓶は台に固定されている。台も床に固定されている。この台は、どれだけ探索者が頑張ってもふしぎぱわーで壊せません…!)

・光源を所持していない場合
紙に書かれた内容を読む方法に関しては、KPが認めるならばどのような方法でも。KP裁量でどうぞ。
花瓶は持ち運べませんが、紙は持ち運べますから、ボコされた扉の隙間から光を拾うとか。PLが悩んでいるようであれば、≪アイデア≫などで誘導してください。

紙を読まずとも、「花瓶」からPLが「とりあえず花を挿してみよう」となるかもしれません。




・花瓶にバラの花(生花)を挿す
バラの花を花瓶に挿した途端、探索者の意識はホワイトアウトする。
(→ エンディング1へ


・花瓶に造花を挿す
バラの花を花瓶に挿した途端、探索者の意識はブラックアウトする。
(→ エンディング2へ





▲上に

エンディング

・エンディング1
次に意識を取り戻したとき、探索者は自宅の玄関前へ帰ってきていた。悪い夢でもみていたようだ。
そうして探索者は日常へと戻ることになる。
シナリオクリア。おめでとう!


・エンディング2
「還れ、還れ、原初の闇へと還れ」
闇に意識が飲まれる中、そんな声を聞いた気がした。そうして探索者は、二度と意識を取り戻すことはなかった。
キャラロスト。


・エンディング3
微睡の中で、探索者は温かな闇に包まれる。穏やかで、永遠に続く死がそこにはあった。
キャラロスト。





▲上に

5.クリア報酬

・シナリオクリア(エンディング1到達)
1d4の正気度回復

・光源を用意した
1d2の正気度回復




▲上に

あとがき

「空き時間できた」「セッションしようぜ」「さすがにそこまでの時間はない」「じゃあ十分で終わるシナリオ作ればいいんだな!」
そうして即席で作ったのがこのシナリオの原型です。流石にテキストセッションで十分以内というのは難しく、終わるまでに三十分かかりましたが。
怖さにも色々ありますが。このシナリオでは、明らかに何かあることにそわそわするタイプの「怖さ」を味わえるシナリオになっていたらいいなあと思います。


ここまで目を通してくださり、ありがとうございました!




▲上に






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▽2017/02/19 up

WaKaMuRa
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